1 : 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします :2026/03/11(水) 23:24:22.680 ID:G4q1vizV0.netこれは十数年の秋、単独行で北アルプスの方へ登った時の話。​予定より少し遅れて、夕暮れ時にようやく目的の山小屋にたどり着いた。そこはかなり古びた小屋で、主(あるじ)らしき無愛想な老人が一人で切り盛りしていた。​その夜、宿泊客は俺を含めて3人。夕食のカレーを食べていると、主がボソッとこう言った。​「あんた、夜中に外で『お裾分けください』って声がしても、絶対に応えちゃいかんよ。ましてや食べ物を外に放ったりするな。一度やると、連中、山を下りるまでついてくるからな」​山の怪談なんてよくある話だ。俺は「野生動物への餌付け禁止」の比喩かなんかだと思って、適当に聞き流して寝袋に入った。​夜中の2時頃、ふと目が覚めた。外は猛烈な風の音。ガタガタと山小屋が揺れている。すると、その風の音に混じって、確かに聞こえたんだ。​「……おすそわけ……ください……」​子供のような、でも妙に掠れた声。最初は聞き間違いだと思った。でも、声はだんだん近づいてくる。俺が寝ている枕元の、すぐ外の壁の向こうでピチャピチャと水音がする。​「……ひもじい……おすそわけ……ください……」​あまりの気味悪さに、俺はリュックの中にあった行動食のナッツを、つい手に取ってしまった。「これを外に投げれば、どっか行ってくれるんじゃないか」そんな誘惑に駆られた瞬間、隣で寝ていた別の登山客が、ガシッと俺の腕を掴んだ。​暗闇の中で、その男は首を横に振っている。俺はハッとして手を止めた。主の警告を思い出したんだ。​声はそれから一時間ほど、小屋の周りをぐるぐると回りながら続いていた。やがて夜が明け、俺は逃げるように下山の準備を始めた。​出発際、主が俺のザックをじっと見てこう言った。「……あんた、昨夜、袋を開けようとしたな」​「えっ、なんで……」​主は黙って、俺のザックのサイドポケットを指さした。そこに入れていたナッツの袋。未開封だったはずなのに、外側から「爪で引き裂いたような細い切り込み」が何本も入っていた。​俺は震えながら山を下りた。でも、本当に怖かったのは帰り道のサービスエリアだ。​トイレの鏡で自分の姿を見た時、ザックの肩紐のところに、泥のついた「小さな子供の手形」がべったりとついていた。​あれは、食べ物をくれなかったからついてきたのか。それとも、あの時もしナッツを投げていたら、俺自身が「お裾分け」になっていたのか。​今でも、夜中にパキッと何かが弾ける音がすると、あの掠れた声を思い出して体が強張る。転載元スレッド:https://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1773239062/
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