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まず、9月28日の英字記事の見出しを 「Fukushima water」としたのは、「主に社内ルールによる見出しの字数制限のため」と回答した。記事本文には、「treated radioactive water 」と表記しているとし、「記事全体では、福島県の住民への差別を助長する内容、表現になっているとは判断していない」と見解を述べた。また、9月8日に日本共産党JCP仙台青葉が「Fukushima water」と発信し、大きな反発を受けた事例があったが、共同通信の本記事に対する読者や加盟新聞社からの意見は寄せられていないという。
その上で、「他の英字メディアでも『Fukushima water』という表記を使っているところは多数ある」とした。一方、福島県民が「Fukushima water」という表記を差別的に受け取る可能性があるという指摘については、こう述べた。「重く受け止める。見出しの字数制限を考慮しつつ、見直しも検討する」つまり、見出しの字数制限などで「Fukushima water」と記載していたが、差別を助長しないために「見直しも検討する」としている。
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「Fukushima water」という表記について、識者はどのようにみたのか。
ハフポスト日本版は、福島の被災地を研究する社会学者で、東京大学大学院情報学環の開沼博准教授にインタビューした。開沼准教授はまず、「Fukushima water」という表記について、「非常に無神経で配慮がなく、科学的な議論や社会的な合意形成に向けた被災地の努力を踏みにじるものだ」と非難。
例えば、コロナの問題では「『武漢が』や『中国が』と地名はつけない」とし、「社会学的には『スティグマ』というが、地名を入れるということは、そこに住む人たちへの差別・偏見を生み出すことにもつながる」と指摘した。
実際、福島の人々は原発事故後、「福島の人とは結婚するな」や「奇形児が生まれている」などと、理不尽な扱いを数えきれないほど受けてきた。
今回の「Fukushima water」という表記も、福島の水は原発事故由来のものという「不必要なイメージ」を喚起させてしまう。
こうした12年半の歴史を踏まえ、開沼准教授は「その程度のことを想像できないのであれば、『情報発信なんてやめてしまえ』と思っている」と話した。https://www.huffingtonpost.jp/entry/media-fukushima1_jp_652600a3e4b09f4b8d4236d8 続きを読む


